本記事の目次
ジュニアゴルフを続けていると、一度は必ず悩むテーマがあります。それが**「思い切り振るスタイル(いわゆるマンぶり)を、どう見守るべきか」**という問題です。
ミスが増えると不安になる。スコアが荒れると心配になる。「もっと抑えた方がいいんじゃないか」——そんな言葉が喉まで出かかることが、何度もありました。
それでも今は、マンぶりスタイルを否定せず、見守るというスタンスに完全に落ち着いています。
この記事では、なぜそう考えるようになったのか、どんな失敗や後悔があったのか、そして今どんな距離感で関わっているのかを、5年間の実体験をもとに書いていきます。
そもそも「マンぶり」とは何か
まず「マンぶり」という言葉に馴染みのない方のために説明します。
マンぶりとは「満振り」、つまりフルスイングで思い切り振り切るスタイルのことです。コントロールより飛距離・リスクより攻撃を優先する、アグレッシブなゴルフスタイルです。
| スタイル | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| マンぶりスタイル | フルスイング・攻撃重視 | 飛距離が出る・バーディーチャンスが増える | ミスが大きくなりやすい・スコアが荒れる |
| コントロール重視 | 安全・刻み重視 | スコアが安定しやすい | 飛距離が伸びにくい・消極的になりやすい |
ジュニアゴルフの世界では、特に小中学生の時期に「マンぶりで振り続けなさい」と指導されることが多いです。これには明確な理由があります。
「とにかく振れ」と言われてきた背景
息子・瑛大は小学4年生からゴルフを始め、当初から先輩のお兄ちゃんやプロの方々にこう言われてきました。
「小さいうちは、とにかく振れ」「今は結果よりスイングを作る時期だ」
当時の私はこの言葉の意味を正直あまり理解できていませんでした。「振るのはいいけど、スコアはどうなるんだ」と内心思っていました。
でも今振り返ると、この言葉には明確な根拠があります。ジュニア期は筋力・柔軟性・体の使い方が大きく変化する時期です。この時期に「当てにいく癖」や「失敗しないためのスイング」を覚えてしまうと、後から修正するのが非常に難しくなります。
**振れる体がある今だからこそ、思い切り振る経験を積む。**マンぶりスタイルは無茶に見えて、実は将来のための大切な準備期間なのです。
実際に瑛大は、このマンぶりスタイルを続けた結果、中学生になってから岡山県アマチュアゴルフ選手権で最年少優勝・日本アマチュアゴルフ選手権出場という結果につながっています。「振り続けた時期」があったからこそ、今の飛距離と攻撃力があると確信しています。
最初はマンぶりスタイルに不安しかなかった
正直に言います。最初はマンぶりスタイルに対して良い印象を持てませんでした。
- ミスが大きい・OBが出る
- スコアが安定しない
- 試合でのマネージメントがしにくい
特に試合になると、結果がそのままスコアに表れます。OBや大きなミスが続く日は、「もう少し抑えたらいいのに」という気持ちがどうしても湧いてきました。
周りを見ると、安定したコントロールゴルフで安定したスコアを出している子もいます。「あの子は上手いな」「うちの子はなんでこんなに荒れるんだ」と比べてしまう気持ちを、完全になくすことはできませんでした。
でもある時、ふと気づきました。**一番苦しんでいるのは、本人だということ。**ミスしたことも、スコアが悪いことも、本人が一番よく分かっています。そこに親の不安まで重ねてしまうと、プレーそのものが怖くなってしまう。そう気づいてから、考え方が少しずつ変わり始めました。
口出しして後悔した出来事
考え方が変わるきっかけになった出来事があります。
ある試合でOBが連続して出た日のことです。帰りの車の中で、私はつい言ってしまいました。「なんであそこで刻まなかったんだ。もう少し考えてプレーしろ」
瑛大は何も言い返しませんでした。ただ車内の空気が重くなりました。翌日の練習は、いつもより明らかに元気がなかった。スイングに迷いが見えました。
その姿を見て、私は初めて本当に気づきました。親の一言が、スコアへの影響よりはるかに大きく子どもに響くということに。ゴルフのミスより、親からの否定の言葉の方が、子どもの心には深く刺さるのです。
マンぶりを「直す対象」ではなく「成長の過程」と考える
考え方が大きく変わったのは、マンぶりスタイルを「直すべき癖」ではなく「今の成長段階」として捉えるようになってからです。
- 振れる体がある
- 振ろうとする意識がある
- 攻める気持ちがある
これらは後から教えようとしてもなかなか身につくものではありません。ミスはあります。でもそれは振っているからこそのミスです。振らずにミスをしないことより、振って失敗する経験の方が、将来につながると考えるようになりました。
よく「ジュニアのうちに型を固めすぎると伸びが止まる」と言われます。マンぶりで荒れているように見える時期は、実は伸びしろを作っている時期でもあるのです。
親がやめた3つのこと
マンぶりスタイルを見守ると決めてから、親として「やめたこと」があります。
| やめたこと | やめた理由 |
|---|---|
| スコアを見て一喜一憂する | スコアより成長のプロセスを見るため |
| 試合後すぐに技術的な話をする | 本人が消化する時間を奪わないため |
| ミスの原因を親が分析して伝える | 自分で考える力を育てるため |
| 他の子と比較する | 比較は本人のモチベーションを下げるため |
以前は「良かれと思って」口を出していました。でも振り返ると、それは「教えたい」のではなく「自分の不安を解消したい」という親の気持ちだったと気づきました。
技術的な指導は指導者に任せる。親は安心できる場所でいること。それだけで十分だと、今は思っています。
見守るようになってから変わったこと
マンぶりスタイルを否定せず、見守るようになってから、少しずつ変化が見えてきました。
子どもの変化:
- ミスをしても以前より早く切り替えられるようになった
- 自分でコースマネージメントを考えるようになった
- 試合後に自分から「次はこうしたい」と話すようになった
- 表情が試合中も安定してきた
親自身の変化:
- 試合中にハラハラしなくなった
- 結果よりプロセスを楽しめるようになった
- 帰りの車の会話が増えた
結果が急に良くなったわけではありません。でも確実に「中身」が変わってきていると感じます。この変化は、親が前に出なくなったからこそ生まれたものだと思っています。
「見守る」と「放置」は全然違う
「見守る」というのは何もしないことではありません。
- 信じる
- 待つ
- 余計なことを言わない
これは想像以上にエネルギーが必要です。特に試合でミスが続いているとき、隣で黙って見ているのは、口出しするより何倍もしんどいです。
でも私が意識しているのはこの3つです。**「見ている・気にかけている・いつでも話を聞ける状態でいる、でも口は出しすぎない」**この距離感が、今のところ一番うまくいっています。
マンぶりスタイルに悩む親御さんへ
もし今「このままでいいのか」と悩んでいるなら、一度立ち止まって考えてみてください。
- 本人は振ることを楽しんでいるか
- 挑戦する気持ちは残っているか
- 親の不安が先に出ていないか
ゴルフは長いスポーツです。ジュニア期の数年は通過点にすぎません。振れる時期に思い切り振った経験は、必ず将来の支えになります。
息子・瑛大の経験がその証拠です。マンぶりで荒れていた時期があったからこそ、今の攻撃力と飛距離があります。その時期を否定せず見守り続けたことは、親として正解だったと今は確信しています。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| マンぶりの意味 | フルスイングで攻撃重視のスタイル |
| なぜ推奨されるか | ジュニア期に振る体と感覚を養うため |
| 親がすべきこと | 信じて待つ・安心できる場所でいる |
| 親がすべきでないこと | 口出し・比較・試合後すぐの技術指摘 |
| 見守った結果 | 子どもが自分で考え、自分で動くようになる |
ジュニアゴルフは子どもだけでなく、親も一緒に成長していく時間です。焦らず、比べすぎず、その子のペースを信じて、一歩ずつ進んでいけたらと思います。




