「ジュニアゴルフ 成長記録|試合こそ最高の練習!“走行距離が成長距離” 大嶋兄弟の父から学んだ言葉」


大会が終わった数日後、いつもの練習場に瑛大と向かった。
津カントリーでの遠征を終え、まだ少し疲れの残る体。それでも、瑛大は打席に立つとすぐにドライバーを握った。
「今日はもう少し飛ばしたい」
そう言って、全力で振る。その姿に、私は心のどこかで“このまま突っ走っていいのか”という迷いも感じていた。

そんな時だった。
練習場の奥の打席に、見覚えのある背中。大嶋港選手――国内外のジュニア大会で活躍する兄弟の末っ子。そのすぐそばには、お父さんの姿があった。以前から噂で聞いていた“育成の名手”だ。

思い切って、声をかけた。
「どうしたら、うちの息子ももっと強くなれるでしょうか?」
お父さんは少し考えてから、穏やかにこう言った。

「とにかく、試合に出てください。どんな小さな大会でも構いません。走行距離と子どもの成長は、比例しますから。」

その言葉に、私は衝撃を受けた。
“走行距離と成長は比例する”――つまり、遠くへ行けば行くほど、試合を重ねれば重ねるほど、子どもは強くなるという意味だった。


その日から、私たちのゴルフ生活は一変した。
週末は県内の大会だけでなく、他県のオープン戦や予選会にも積極的にエントリー。
家族での移動距離は一気に伸びた。
車のメーターを見れば、月に3,000kmを超えることもある。
でも、その距離が確実に“瑛大の成長曲線”を押し上げているのを感じる。

初めてのコース、初めての芝質、初めてのグリーンスピード。
そのたびに新しい課題が生まれ、次の練習テーマが見えてくる。
一つひとつの試合が、教科書にない“生きたレッスン”になっているのだ。


そして、何より変わったのは瑛大自身のメンタルだ。
以前は試合になると緊張して表情が固まっていたのが、最近ではティーグラウンドに立つと笑顔になる。
「今日はどこまで飛ばせるかな」と、自分との勝負を楽しんでいる。

その背景には、“試合慣れ”という経験がある。
結果が出なくても、負けても、ミスしても、また次の試合がある。
だからこそ、一度の失敗に引きずられなくなった。
大嶋父の言葉が、まさに現実になっている。


瑛大のゴルフスタイルは、とにかく「誰よりも飛ばす」。
小学4年生の今でも、ティーでの構えには自信がある。
そして、どんな場面でも“マンぶり”。
試合でも練習でも全力で振る。それが彼のモットーだ。

最近では、試合後に他の選手から「すごいスイングだね!」と声をかけられることも増えた。
そうやって仲間ができ、また次の試合で再会する。
競い合い、笑い合いながら、少しずつ“ジュニアゴルファーとしての輪”が広がっている。


父親として思うのは、
「うまくなれ」よりも、「経験を積め」という言葉の重みだ。
練習場では学べない“風の読み方”や“プレッシャーへの向き合い方”を、試合が教えてくれる。
その一つひとつが、瑛大のスイングに、そして表情に深みを加えている。

帰り道の車の中で、瑛大がふとつぶやいた。
「また次の試合行こう。お父さん、今度は勝つよ。」

その言葉に、私はハンドルを握りながら笑った。
“走行距離”は確かに伸びている。
でも、それ以上に伸びているのは、息子の心とスイングだ。


🚗おわりに

あの日、大嶋兄弟の父から聞いた言葉は、今も胸に残っている。

「試合に出てください。走行距離と子どもの成長は比例します。」

これからも、家族で走る。
試合へ、挑戦へ、そして未来へ――。
父と息子のゴルフ旅は、まだ始まったばかりだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です