ゴルフを続けていると、誰もが一度は感じる——
「最近、距離が合わない」「打感が変わった気がする」「クラブが重く感じる」。
それは、スイングではなく、体の成長やスイングスピードの変化が原因かもしれない。
小学4年生の息子・瑛大も、まさにその時期に入った。
初めての遠征を終え、少しずつ体が大きくなり、振れるスピードも上がった。
それまでの“軽くて振りやすいクラブ”が、少しずつ“軽すぎるクラブ”に変わっていく——。
クラブセッティングは、単なる道具選びではない。
**成長やプレースタイルを映す「鏡」**のような存在なのだ。
① ジュニア期:「まずは振り切れるクラブ」
― 距離よりも“フルスイングの感覚”を覚える段階
小学4年の瑛大が使っていたのは、テーラーメイドSIMシリーズ。
シャフトはテンセイ4S。ジュニア用の中でもややしっかりめだ。
彼のテーマはいつも「誰よりも飛ばす」。
だからこそ、“振れる限界”の軽さよりも、“しなりを感じられる重さ”を選んだ。
🔹 セッティング例(当時)
- ドライバー:テーラーメイド SIM/TENSEI 4S
- フェアウェイウッド:3W・5W・7W(同シリーズ)
- アイアン:本間ゴルフ 5I〜P/カーボンシャフト 50R
- ウェッジ:ボーケイ 52°・56°
- パター:スコッティ・キャメロン
- ボール:タイトリスト Pro V1
この組み合わせは、「飛距離への挑戦」と「操作の練習」を両立させるためのもの。
大切なのは、「振り切って気持ちいい」と本人が感じることだ。
✅ ポイント
- 軽すぎるクラブはスイングを小さくする
- 少し“しなる”くらいがちょうどいい
- 「重い」と言い出したらスイングが強くなってきた証拠
② 成長期:「飛距離と精度のバランス」
― “スイングスピード”と“ミート率”を両立させる
身体が成長し、ヘッドスピードが上がると、次に必要なのは精度の向上。
クラブが軽すぎると、タイミングが合わなくなる。
瑛大の場合、ドライバーのシャフトを少しずつ重く・硬くしていった。
これはジュニアだけでなく、一般ゴルファーにも同じことが言える。
例えば、
「最近ドライバーが左に行く」「フェアウェイウッドが上がりすぎる」
そんな時は、スイングが成長してクラブが合わなくなっているサインだ。
✅ セッティング見直しの目安
- ドライバーが左に出始めた → シャフトが柔らかい可能性
- 球が上がりすぎる → ロフト・シャフト調整を検討
- アイアンの距離差が不安定 → シャフト重量の見直し
ジュニアの場合は成長、一般の場合は体力・筋力・テンポの変化。
どちらも「今のスイングに合ったクラブ」を選ぶことが上達の近道だ。
③ 一般ゴルファーにも共通:「セッティングは“変化の記録”」
― 道具を変える=自分の成長を認める
息子のクラブを調整していて気づいた。
クラブを変えるのは、「前のクラブが悪いから」ではない。
むしろ、「今の自分が前より強くなったから」だ。
これは一般ゴルファーにもまったく同じことが言える。
例えば、
- 軽量シャフトから標準シャフトへ
- 5Wを抜いてユーティリティへ
- ウェッジを3本構成にする
これらは全て“成長の証”だ。
練習を続けている人ほど、クラブセッティングを更新していく。
✅ クラブを変える時に考えること
- 「何が苦手か」ではなく「何を伸ばしたいか」
- 飛距離アップなのか、安定性なのか
- 変化を“挑戦”として受け入れる
④ ジュニア期の親の役割:「本人の感覚を信じる」
― 親が選ぶより、子が感じるほうが正解
クラブ選びの難しさは、「親が良かれと思って」重すぎる・高性能すぎるモデルを選んでしまうこと。
でも実際には、本人が“気持ちよく振れる”クラブが一番の上達道具だ。
息子・瑛大も、最初は「軽いクラブじゃないとイヤ」と言っていたが、試合での悔しさを経て自然に「もっとしっかりしたクラブがいい」と言い出した。
子どもがクラブを“自分で選びたい”と思った瞬間、ゴルファーとしての成長が始まる。
🏁 おわりに
クラブセッティングは、“結果”を変えるものではなく、“成長”を映すもの。
軽くしても、重くしても、長くしても、短くしても——
すべては「今の自分をどう表現するか」という選択だ。
ジュニアも一般も関係ない。
クラブを見直すタイミングは、「もう少し飛ばしたい」「もっと安定させたい」と思ったその瞬間。
変わる勇気が、上達の第一歩。
今日のあなたのスイングは、昨日のクラブにはもう収まらないかもしれない。